A社の概要
当サイトで事例とするのは、まだ小規模のベンチャー企業で仮にA社とします。
A社は独自の強い技術を持っており、その技術を基に、大手企業の最終製品に組み込むための部品を、複数の生産会社に委託して生産販売している、いわゆるファブレス製造業です。ファブレス製造業というのは自社の生産設備を持たず、生産プロセスの全てを外部に委託する企業で、正確な統計はありませんが、その数は大きく増えているものと思われます。
ファブレス製造は生産設備を持ちませんが、製造業というだけに、以下のような生産管理機能を持っています。
- 新製品の企画・設計・開発
- 生産に必要な原材料・部品の手配
- 外注先と外注工程の管理
- 外注先で生産中の仕掛品の管理
製造業だけに、ファブレスだからといっても事業内容や業務の流れは結構複雑です。では、A社がどのような事業を行っているのかを少し詳しく見ていきましょう。
A社の事業と業務の概要
小規模でも取引は結構複雑ですね。これを少人数で管理していかなければならないので大変です。しかも、きちんとしたシステムが入っていないので、手作業やExcel,、簡易的な販売管理や在庫管理ソフトを使ってこなしているのです。
事例を読み進める前に、「事例詳細」でその内容をご確認ください
A社の悩み
高い技術が評価され、A社の売上は順調に推移しています。既存の顧客から、そして新規の見込客からは新しい製品の引き合いが来ています。また、数年来進めてきた新製品Zの開発もほぼ完了し、量産も間近になってきました。
しかし、こんな順調なビジネス環境の中でも、A社には大きな悩みがあります。
それは、今でさえ大変なのに、これ以上受注が増えていっても、管理が追い付くかという心配です。
受注をこなすためにA社が行う業務は様々なものがあり、それぞれに課題を抱えています。
1.業務の概要
A社では、市販のPCパッケージを導入し、創意工夫しながら業務を行っています。PCパッケージといっても、それなりの機能はありますが、人手に頼るところの方が多いのが現状です。A社が行う業務には以下のようなものがあります。
- 生産計画
- 受注
- 得意先からの支給品の受領
- 外注生産指示の作成
- 仕入先への原材料発注
- 原材料仕入計上
- 在庫品の外注先への支給
- 外部倉庫から得意先への出荷
- 外注先からの出荷報告処理
- 得意先からの検収通知処理
- 得意先からの有償支給品相殺
- 仕入先への有償支給相殺
- 実地棚卸
- 請求と債権回収
- 仕入先・外注先への債務支払
- 売上原価と製造原価の計算
- 財務会計と決算処理
2.業務の詳細
ずいぶんと色々なことをやらなければいけないのですね。ではA社はこれをどのように行っているのでしょう。少し詳しく見ていきましょう。
ERP導入以前のA社の業務
3.ミスやトラブルの発生
少人数で、十分ではないシステムを使いながら、これだけの業務をこなしていくのですから、ミスやトラブルはどうしても起こります。では、A社ではどのような、そしてどのように、ミスやトラブルが発生したのでしょう。これも詳しく見ていきましょう。
A社で発生したミス・トラブル
4.管理の危機
A社ではこのような状況を改善するために、管理を行う責任者を採用し、事務員も増員しましたが、増え続ける業務をこなすのに手いっぱいで、とても改善には至りません。
しかも、受注から生産手配、材料手配、納品、更には請求回収までと範囲が広いため、少人数の時は比較的少なかった部門間の連携にもほころびが出始めました。
日々の業務をそれぞれの担当者が忙しくこなす中、A社では何が問題なのかも断片的にしか見えなくなってきました。そこで、A社の抱える問題点をA社に代わって整理してみました。
A社が抱える課題
これらの問題点の中には、A社が気づいていても解決できない問題もあります。が、A社が気づいていない問題も少なくありません。
まさにA社には「管理の危機」が訪れているのです。
ERPの導入
たまりかねたA社では、ERPを導入することとしました。コンサルタントに依頼して、自社の現状の分析と要件定義を行い、システム会社に依頼して、A社のような小規模の企業にも使える、小回りの利くERPシステムの導入を行いました。
お金と労力はそれなりにかかりましたが、その効果も大きなものがありました。では、ERPを導入したことで、A社の業務はどのようになり、どのような課題が解決されたのでしょうか?少し詳しく見ていきましょう。
ERPの導入
こうして無事ERPの導入も成功し、導入前に比べると大きな進歩はありましたが、全てが解決された訳ではありません。
残された課題
ベンチャーキャピタルから出資も受け、上場も視野に入ってきましたが、これらの課題を解決しなければいけません。
どうしたらこれらの課題を解決できるのか。A社の悩みは続きます。
管理ロボットの登場
もしAI・ロボットがA社の管理業務を行ってくれたら、A社の業務はどうなるでしょう。業務の内容を細かくひも解いていくと、何と、管理の無人化が出来るのです。
ここからこのAI・ロボットを「管理ロボット」と呼ぶこととします。
「管理ロボット」は取引先との連絡も、在庫管理も、それに付随する債権債務の管理、会計処理や原価計算まですべてやってくれます。
「管理ロボット」は本当にERPでも解決できなかった課題を本当に解決してくれるのでしょうか?そして管理業務の無人化は実現できたのでしょうか?
詳細は「管理ロボットの登場」で!!
関連ページ
- ファブレス製造業以外への事例の応用
- 当サイトで掲げる事例を自社の業務に合わせてカスタマイズすれば、自社の業務と必要な管理業務を体系的に整理することができます。
- 実現のための留意点
- 管理業務のAI化・ロボット化は本当に実現できるのか?その障害となる要因と対応策について考えてみます。
- 管理ロボットの広がり
- 管理ロボットの活躍は事例のような業務だけではありません。管理ロボットの守備範囲はどのように広がっていくのかを考えてみます。